【低身長について】
お子さんの身長が気になったら、一度受診してください。お子さんの身長・体重のデータを集めて、「成長曲線」を書いてみましょう。成長曲線は、ネットで検索していただければ入手できます(ファイザー、ノボノルディスクファーマ、JCRなどのサイト)。標準偏差の2倍以下、つまり-2SD以下の場合は、低身長と言います。これは、100人中で2-3番目くらいになり、医学的にはこの-2SDを一つの目安として、診療しています。さらに、伸びが悪い場合も、低身長と同じように検査が必要になります。伸びが悪いというのは、身長が低くなくても、成長曲線が、もとの曲線に沿わないで下にずれてくる場合です。特に、頭痛、元気がない、体重が増えた、など他の症状があったら、なるべく早く受診してください。逆に、思春期の年齢(女児で10歳、男児で11歳ごろ)でないのに、急に伸び始めている場合も、検査が必要になります。この場合は、もとの曲線より上にずれてきます。
【受診の時期について】
身長を伸ばす時期には、限りがあります。身長の増加する時は、骨の骨端線というところで伸びます。大人になると、骨端線が閉じてしまうので、伸びなくなります。骨端線が閉じているかどうかは、手のレントゲン検査で判断できます。身長を伸ばせるのは、概ね、女児では初潮を迎える前、男児では、身長のスパートがすぎた頃(中学後半ごろ)までになります。そのため、身長が気になったら、一度、なるべく早く受診してください。一方、乳幼児期は、よほど成長率が悪い(成長曲線で身長が下の方に下がってくる)場合は別ですが、小学校にあがるくらいまでは、外来通院で成長をみることが多いです。すぐ検査をするわけではないので、一度受診して、その後の経過をみながら検査の時期を相談していきます。
【低身長の診療について】
初診時
新患問診票、成長・内分泌問診票、身長体重表を持参してください。実際の数値が必要ですので、測定年月日とデータをお持ちください。問診、成長曲線作成、全身の診察、血液検査、尿検査、骨年齢検査(レントゲン)、場合により染色体検査を行います。
負荷試験
初診時の診察結果をもとに、必要と判断された方について、成長ホルモン等をみるための負荷試験をします。(保険診療の都合により、5歳以下は大学病院で行います。)平日・土曜日とも可能です。当院の外来で午前中に行い、昼頃には終了します。成長ホルモンの保険治療が行えるのは、2種類以上の負荷試験で基準値を下回る結果がでた時になりますので、異なる薬を使って2回以上行います。結果によって、頭部MRI検査を行います。
成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、SGA性低身長症など、保険で治療できる疾患と診断された場合は、保険で成長ホルモン治療を行います。決められた基準がありますので、すべての項目を満たす方が対象となります。成長ホルモンは、自宅で注射する自己注射治療になります。最初に治療法を説明します。ほとんどの方は、1回の説明で習得され、それ以降問題なく治療を継続できています。受診は、月1回診察をし、定期的に血液やレントゲン検査をします。
【自費治療について】
医学的に正常と判断され、保険適応がない場合は、自費での治療にも対応しております。身長の治療ができるのは、骨端線が閉じていない小児期のみになりますので、早めに受診してください。成長ホルモン治療が最も効果があります。思春期に入っている場合は、性腺抑制療法や蛋白同化ホルモンの治療も可能です。